Column

2018年6月19日 それでも福島の米は美味しい!!
福島農家が語る、放射能の真実とは?

福島県は日本有数の米どころ

福島県は全国でも有数の「米」の産地です。(全国7番目)

福島県でも、特に「おいしいお米」のとれる場所は、会津地方、二本松市などの阿武隈山系と言われており、毎年発表される「食味ランキング」(日本穀物協会)でも、最高においしい「特A」ランクの常連です。

なぜ、おいしいお米ができるか?

ここで、知る人ぞ知る理由をお教えします。
それは「風」です。
水田の近くに山があると、そこから吹き降ろしてくる「風」で、稲はいつも「風にそよぎ」ます。そうすると稲は、その風に耐えようとして「茎」をしっかりとさせ、結果として立派な稲になり、おいしいお米を実らせる、ということになります。

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想像しても、風にそよいでいる黄金の稲…おいしそうですよね。
会津地方は、飯豊山、奥只見、磐梯山(宝の山)などの高い山に囲まれた盆地で、いつも山から風がそよそよ…

阿武隈山系も、西に「安達太良山(あだたらやま)」があり、そこから風が吹き降ろしているのです。

新潟県の魚沼のコシヒカリはおいしい事で有名ですが、その風は、実は奥只見から吹き降ろしていて、同じ風は会津にも吹き降ろしているのです。福島県は、会津、中通り、浜通りの3地方に分けられ、地形も様々なので、色々な味のお米が楽しめるということになります。

福島で栽培されている品種は、「コシヒカリ」が約6割で最も多く、次いで「ひとめぼれ」、「天のつぶ」の順となっています。
特に「天のつぶ」は首都圏でテレビコマーシャルしているので、おなじみかと思います。

あまり知られていませんが、「米」といっても、品種によって、その味と用途はずいぶん違うものです。

「コシヒカリ」は、甘み・風味・粘り気のトータルバランスにすぐれ、家庭の一般食向けです。
福島県の奨励品種である「天のつぶ」は、粘り気をわざと抑え、カレーのライスや親子どんなどの「どんぶり」に実は向いています。
粘り気が少ないということは、「おにぎり」にしても、ぱりぱりとして良いかも知れませんね。

今なお風評被害にあっている福島米

このように日本有数に美味しいお米を作っている福島県ですが、東日本大震災後7年以上経つ今でも苦しめられているものがあります。それが「風評被害」です。

米は、30キログラム入の袋で流通しますが、福島県では、毎年秋これが1000万袋以上産出されます。これらの米は、震災前は首都圏のお米屋さんやスーパーを中心に一般消費者向に販売されてきましたが、震災から7年以上が過ぎた今でも残念ながら、これらのところで見かける事はあまりなくなってしまいました。

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では、福島産の米は現在どこに行っているのか?

それは「業務系」ということになります。コンビニのおにぎり、牛丼屋、レストラン・・・で使われることが多くなったのです。もちろん業務系の米の値段は安いので、結果として、福島県産のお米の販売総額は震災前に比べて下がっているということになります。

放射能の吸収抑制策

このように今もなお残る「風評被害」ですが、未だに知られていない福島米の真実があります。

どのようにして、米に放射能を吸い込まないようにしているのか?
あまり知られていませんが、福島県の米農家では、カリウムという肥料を使った「吸収抑制策」ということを行っています。
植物は、肥料の3要素、窒素・リン酸・カリウムが好きで、これらの物質が土の中にあると吸い上げる性質があります。ところが、カリウムと「放射性セシウム」は、化学構造が似ており(元素周期表で同じ属類)、土の中にカリウムが少ないと植物は、放射性セシウムをカリウムだと思って吸ってしまいます。

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逆にいうと、土の中に少しぐらいセシウムがあったとしても、そこにカリウムがたくさんあれば、植物は大好きなカリウムを吸ってセシウムは吸わない…ということなります。こうやって、福島県では放射性セシウムの吸収を抑制しているのです。

抑制策の効果と全袋検査の結果

どれくらい放射能が検出されなくなったか…。
前述のように、福島県では毎年秋、1000万袋以上の米が採れますが、このすべてを放射能測定しています。
すべての袋を検査しますので「全袋検査」と呼ばれています。
その結果を見るとここ3年間、放射能の基準(1キロ当たりの米の中に放射能100ベクレル)を超えたものは、なんと!ゼロです。1000万袋も測って、基準を超えたものはゼロ。
これをみても、福島県の米からは、「まったく」と言っていいほど、放射能は検出されなくなっていると言えます。

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このように世界でも類を見ない「全袋検査」を行い、その結果基準を超えたものが3年連続でゼロ。
ならば、福島県産の米が以前と同じように売れているかというと…
前述のように、福島県産のお米はいまだにお米屋さんやスーパーで見かけることは少なくなっています。
ここに、福島県が被っている風評被害の根深さがあると言えます。

農家直送の福島のお米を食卓に

いかがでしたか?

福島のお米にはまだ皆様が知らなかった真実があります。
福島県は「北と南の結節点」。寒い気候と温かい気候を両方持っています。
つまり、温度差が大きいので、植物はそれに耐えようとして、糖分を蓄え甘くおいしくなります。
これは、米についても言えます。山からの風はそれをさらにおいしくしています。私は米農家ですが「福島の米は世界一おいしい!」と自負しています。白米にちょっとしたお漬物、これだけで、日本に生まれた幸せを感じます。

次のネットショップでは、会津、中通り、浜通りそれぞれの地方のお米を買うことができ、食べ比べできますよ。

会津⇒喜多方産の有機栽培コシヒカリ
中通り⇒二本松市産の「天のつぶ」
浜通り⇒いわき市産の有機栽培コシヒカリ

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